「オンライン英会話を続けているけれど、いつまで経っても上達しない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
せっかく学習に取り組んでいても、効果を実感できなければへこんでしまいますよね。
実は、オンライン英会話で「上達しない」「伸びない」と悩んでいる方には、いくつかの共通点が見られます。
そこで、本記事ではオンライン英会話で上達しない方に見られる特徴やオンライン英会話の上手な活用法について解説します。
また、「上達しない」「伸びない」といった辛い状況を克服するための学習法も紹介していますよ。
本記事を読み終えるころには、自分がなぜ伸び悩んでいるのか、また、上達するにはどうしたら良いのかが明確になり、前向きな気持ちで英語学習に取り組めるようになっているはずです。
「オンライン英会話で英語を上達させたい!」と考えているあなたは、ぜひ最後までご覧ください。
オンライン英会話で上達しない5つの理由
前提として、英語を習得するには時間がかかることを覚えておかなければなりません。
しかし、中には「1年も続けているのにまったく変わらない」という方もいるでしょう。
その場合、上達しない理由として次の5つが考えられます。
上記5つの理由は、大人・子供両方に当てはまります。
まずは、どの理由が該当するのかをしっかり分析しましょう。
インプットが不足している
オンライン英会話で英語が上達しない理由の中で、最も多いのがインプット不足です。
オンライン英会話では、講師との対話を通じて英語を習得していきます。
しかし、その対話を成立させるためには、語彙・文法・発音といった基礎知識が必要になるのです。
知らない言葉を聞き取れなかったり、話せなかったりするのは当然ですよね。
「理解可能なインプット」とは、学習者の現在の言語レベル(‘i’)をほんの少し上回るレベルのインプット(‘i+1’)のことを指し、i+1には多少知らない語彙や文法が含まれます。
もし、語彙や文法などの知識が何もない状態でオンライン英会話のレッスンを受けてしまうと、そこでのインプットはは’i+2’ ‘i+3’のように理解可能なレベルを超えてしまい、効率的な学習ではなくなってしまうのです。
この説には反論の声もありますが、いずれもインプットの重要性については否定していません。
つまり、オンライン英会話を活用して英語を学ぶ際にも、十分なインプットがかかせないのです。
レッスン中の発話が少ない
ある程度インプットができている状態で、なかなか上達が見られないのであれば、レッスン中の発話=アウトプットが足りていないことが考えられます。
前述の通り、オンライン英会話では、講師との対話を通じて英語を学んでいく学習ツールです。
つまり、講師の話を聞くばかりでは、「使える英語」は身につきません。
第二言語習得論における「アウトプット仮説」では、インプットだけでは十分でないことがいわれています。
聞く・読むといったインプット活動では、多少理解できなくてもごまかしが利くのに対し、話す・書くといったアウトプット活動では自分の能力をごまかせません。
例えば、講師と対話する際、いくつか聞き取れない単語があっても、なんとなくやり過ごせてしまいますよね。
一方、自分から発信するとなると、自分が知っている限りの語彙や表現を使うしかなくなります。
つまり、アウトプットでは、持ち得る知識やスキルを最大限活かす努力が必要になるのです。
そして、これこそがアウトプットの重要なポイントになります。
アウトプットにはこうした「気づきの機能」があるのです。
十分なインプットと積極的なアウトプットが効率的な学習活動を促し、英語力を向上させるのです。
レッスンのレベルが合っていない
レッスンレベルが適切でないことから、上達が見られないケースもあります。
例えば、自分の英語力よりも高いレベルのコースや教材を選んでしまっている場合、ほとんど理解できないままレッスンが進んでしまうことになるでしょう。
反対に、レベルが易しすぎてしまっては、新しい学びを得られません。
前述の通り、英語学習では「理解可能なインプット」(‘i+1’)が大切になります。つまり、’i+2’’i+3’と高すぎても、’i-1’ ‘i-2’と低すぎても適切ではないのです。
自分のレベル、そしてオンライン英会話が提供するコースや教材のレベルをしっかりと見極めることが必要になります。
レッスンに頼りすぎてしまっている
「オンライン英会話のレッスンを受けているから、英語力が伸びるはず!」と考えてしまっては、上達は見込めません。
もちろん、オンライン英会話は有効な学習ツールですが、それだけでは不十分なのです。
レッスンの効果に関しては、大人と子供で多少異なります。
また、大人のように知らない言語を口にすることへの羞恥心がないため、レッスンの中で十分なアウトプット活動が可能です。
一方、大人はただ聞いて覚えられるほど柔軟ではありません。
また、「間違えたらどうしよう」という恥ずかしさや恐怖から、アウトプットを躊躇してしまう方もいます。
つまり、年齢が上がれば上がるほどレッスンで学んだ内容をより定着させる努力が必要になるのです。
とはいえ、学習効率を高めるには、大人・子供関係なくレッスン外での学習が重要になります。
レッスンの効果に期待しすぎるのではなく、積極的に英語に触れる時間を設けることが大切です。
「めんどくさい」とさぼってしまうことがある
上達しない原因には、そもそも学習量が足りていないことも考えられます。
曜日や時間が固定される英会話教室と異なり、一般的なオンライン英会話では自由予約制を採用しています。
自分のスケジュールに合わせて、柔軟に学習を続けられるのがオンライン英会話のメリットですよね。
しかし、自由に予約できてしまうために「今日はめんどくさいから、また今度でいいや」といった行動もできてしまうのです。
そうしたことを繰り返していくうちに、さぼることが癖になってしまい、十分なレッスン回数が確保できなくなります。
たとえ1年間オンライン英会話を続けていたとしても、月2回程度レッスンを受けているだけでは大きな成長は見られないでしょう。
また、オンライン英会話をめんどくさいと感じる要因の1つとして、講師の話す英語やレッスンの内容を理解できないことが考えられます。
つまり、分からないことからレッスンが辛くなり、徐々にめんどくささへと変わっていってしまうのです。
だからこそ、前項でお伝えした「インプット」や「レベルに合ったコース・教材の選択」は、オンライン英会話で英語力を伸ばす上で重要になります。
いつまでも上達しない方向けオンライン英会話の上手な活用法
オンライン英会話を利用して、英語を上達させるにはちょっとしたコツが必要になります。
ここでは、オンライン英会話の上手な活用法を5つ紹介します。
上記5つの方法は、上達が早い方の多くが意識していることです。自分ができそうなものから少しずつ取り組んでみると良いでしょう。
明確な目標を持つ
「なぜ英語を学ぶのか/英語を習得するのか」を明確にしておきましょう。目標があるからこそ、自分が学ぶべきことが見えてきます。
例えば、スポーツにおいても「夏の大会で優勝したい」と目標を掲げている場合、何を伸ばしたら良いのか、また、どのような点を克服したら良いのかに着目して練習メニューを組んでいくはずです。
もしなんとなく練習しているだけでは、その練習がどのような効果があるのかが分からず、上達を実感できないでしょう。
英語学習も同じです。
最も分かりやすい目標は、英語の検定試験の級やスコアですね。
「〇月の英検で3級合格する」「TOEICで〇〇点獲る」といったように具体的な目標があるといいでしょう。
しかし、中には趣味程度で英語学習を始めた方もいると思います。
そのような方は、「好きな映画を字幕なしで見れるようにする」といった目標でもOKです。
いずれにしても、1つ大きな目標を決めたらそこに向かうまでの小さな目標を定めていきましょう。
英検3級合格であれば、「英検の頻出単語〇〇語覚える」「長文を聞き取れるようにする」のように、自分の何を伸ばしたいのか、また自分に何が足りていないのかを考えて、それに合わせた目標を立ててみてください。
むやみやたらにレッスンを続けるのではなく、一旦立ち止まって自分の学習目標を明確にしてみましょう。
目的や興味に合ったコース・教材を選ぶ
目標に向けて自分が伸ばしたいことや克服したいことにフォーカスしてコースや教材を選ぶことが大切です。
例えば、英検3級合格が目標なのであれば、「文法知識を固める」「リスニング力を高める」「面接対策に取り組む」などといった目的に合わせてコースや教材を選ぶと良いでしょう。
また、興味があるかどうかをコース・教材選びの基準にしても良いでしょう。
「英語を学びながら、世界のトレンドを知りたい」ということであれば、文法力やリーディング力を伸ばす目的でニュース記事を教材にしたレッスンを選ぶのもありです。
目的を果たしつつ、自分が興味を持てるレッスンであれば、モチベーションも維持できるでしょう。
アウトプットの場として活用する
オンライン英会話の最大の利点は、英語でのコミュニケーション法を学べる点です。
つまり、「オンライン英会話=アウトプットの場」といった意識を持つことが重要になります。
インプットした語彙・文法・発音などの知識を積極的にアウトプットし、間違いを繰り返す中で正しい活用法を身につけたり、知識をより定着させたりするのがオンライン英会話の効果的な活用法です。
予習・復習に取り組む
オンライン英会話での学習効果をより高めるには予習・復習が欠かせません。
なぜなら、一度学んだだけでは知識が定着し、日常的に使えるようにならないためです。
予習は、レッスンの理解度を高めるために必要になります。
事前に教材を確認し、分からない語彙を調べたり、自分だけでは理解しがたい箇所を把握したりしておくことで、レッスン中に何にフォーカスすべきかが明確になります。
そうすることで、学習内容がスムーズに頭に入ってくるようになり、知識として蓄積されていくのです。
ただし、それだけでは十分ではありません。
しっかり復習を行い獲得した知識を使いこなせるレベルにまで持っていくことが大切です。
また、単にレッスンの内容について予習・復習するだけでなく、自分がつまずいた箇所や失敗した箇所について振り返るのも大切です。
例えば、レッスンを受ける中で「本当はこう言いたかったのに、語彙や表現が分からなかった」という経験はありませんか?
このようなときに、自分が意図したことを伝えるにはどうしたら良かったのかを調べ、新たにインプットすることで、知識とスキルは徐々に向上していきます。
まさに、アウトプットの「気づきの機能」を活かした学習法です。
もし予習・復習にあまり時間が割けないのであれば、まずは復習から取り組んでみましょう。
そして、余裕が出てきたら予習にもチャレンジしてみてください。
継続する
英語力を伸ばすには、学習を「継続」させることが肝心です。
その理由は、英語習得にかかる時間にあります。
このことから、日本語ネイティブが英語を習得する際にも同様の時間がかかるといわれています。
効果的な学習であることが前提ではありますが、英語を習得するためには「量」をこなすことが求められます。
よって、オンライン英会話のレッスンをいかに継続させられるかが、上達のカギになるわけです。
ただし、「量」をこなさなければならないからといって、無理しないように気をつけましょう。
まずは週1〜2回の頻度で様子を見て、できそうであれば回数を増やしていってください。
また、オンライン英会話を継続するには、学習を習慣化することが大切です。
毎週曜日・時間を固定したり、レッスンが終わったらすぐに予約するようにしたりと、英語を学ぶことが習慣になるよう工夫しましょう。
オンライン英会話以外で「上達しない」「伸びない」を脱却する学習法
前項で「インプットが大切」とお伝えした通り、オンライン英会話のレッスンで上達するためには、レッスン外での学習も重要になります。
ここでは、「上達しない」「伸びない」と悩んでいる方に取り組んでほしい3つの学習法を紹介します。
順番に詳しく見ていきましょう。
語彙や文法などの基礎学習
講師の話していることやレッスンの内容をしっかり理解し、かつ講師との対話を成立させるためには、単語や文法を十分にインプットして、基礎を固めることが大切です。
単語や文法は英語力の土台になります。
土台ができていなければ、いくら英語学習を続けても上達しません。
単語学習のコツ
単語学習のコツは、次の2つです。
- 一度に覚えようとしない
- 「24時間以内」「1週間後」「1ヶ月後(4週間後)」に振り返る
単語学習では、一度に覚えようとしないことが重要です。
なぜなら、人間の記憶は復習をしない限り、徐々に薄れていってしまうためです。
「エビングハウスの忘却曲線」を見ると、振り返りの大切さがわかります。
節約率とは、初めに覚えたときにかかった時間と比べて、覚え直す際にどのくらい時間を省けたかの数値を指します。
例えば、上の表でいうと、20分後に振り返りを行ったときの節約率は58%です。
つまり、最初は30分かかって覚えられたことを、20分後には12分半ほどで記憶し直せたことになります。
ここからいえることは、「何もしなければ忘れていってしまう記憶を効率良く定着させるには、適切な振り返りが必要になる」ということです。
そして、効率的な振り返りの頻度については、カナダのウォータールー大学の研究によって明らかになっています。
上のグラフの黒い曲線は、知識が0の状態で1時間の講義を受け、振り返りを一切行わなかった場合に記憶がどのようなペースで失われていくのかを表しています。
ここから分かることは、わずか1日経過しただけで、記憶の50~80%が失われていること、そして、30日後には2~3%しか残っていないことです。
一方、オレンジの曲線は、決まったタイミングで振り返りを続けた場合、記憶を完全に取り戻すのにどの程度時間がかかったのか示しています。
振り返りのタイミング | 記憶が100%戻るのにかかった時間 |
24時間以内 | 10分 |
1週間後 | 5分 |
30日後 | 2~4分 |
つまり、ある物事を覚えるときには、「24時間以内」「1週間後」「1ヶ月後(4週間後)」のタイミングで振り返りを行っていけば、効率良く知識が定着していくのです。
これらを単語学習に活かすと、次のような学習スケジュールが出来上がります。
このように、新たな知識を取り入れつつ、振り返りを行っていけば、無理なく基礎を固めていけます。
なお、1日に覚える単語数は、自分のスケジュールや英語力に合わせて設定してみてください。
単語学習におすすめの教材
初心者レベルの方にぜひ使ってほしい教材は、次の2つです。
「中学3年間の英単語がイラストで覚えられる本」
「中学3年間の英単語がイラストで覚えられる本」は単語ごとにイラストがついています。
文字情報にイメージが加わることで、スムーズに頭に入ってくるようになるため、無理なく単語を覚えていけますよ。
「ターゲット1900」
「ターゲット1900」は大学受験の定番でもある単語帳です。
馴染みがある方も多いでしょう。
あえて「一語一義」を採用し、中心的な意味だけを載せているため、初心者の方でも気軽に取り組めるのが特徴です。
「中学3年間の英単語がイラストで覚えられる本」をマスターした後に取り組む1冊にしてみると良いでしょう。
文法学習のコツ
文法学習のコツは、「理解→記憶→自動化」のプロセスを踏むことです。
文法を学ぶときにやりがちなのは、解説書を1周読んだだけで、文法をマスターした気になってしまうことです。
これでは、知識が完全に定着していないため、実際に使えるようにはなりません。
文法学習に限らず、英語学習全般においては「理解→記憶→自動化」のプロセスが重要になります。
教材の内容を理解し、記憶した後は、その記憶を自動化させなければなりません。
自動化とは、記憶した内容を意識せずとも使えるようにすることです。
例えば、自転車に乗る際、いちいち乗り方を思い出しながらこいでいる方はいないでしょう。
たとえ乗り方を覚えたのが幼いころだったとしても、意識せずに自転車に乗れてしまっているはずです。
これこそが記憶の自動化であり、英語学習においてもこの自動化が求められます。
文法学習で「理解→記憶→自動化」を実現させるのにおすすめの方法は、プロセスに応じて文法教材を使い分けることです。
理解 | 中学レベルの文法解説書 |
記憶 | 問題形式の参考書 |
自動化 | ランダム形式の文法問題集 |
初めは、中学レベルの文法解説書を使い、文法を「理解」します。
その後、問題形式の参考書に取り組み、より深く「記憶」していきます。
多くの文法問題集は、項目ごとで区切られているため、ある程度答えを予想できてしまうため、記憶を「自動化」させるために項目関係なくランダムで出題される問題集に取り組みましょう。
こうしてステップを踏んで学習を進めていけば、単なる知識レベルではなく、実際に使えるレベルで文法を習得できますよ。
文法学習におすすめの教材
文法学習におすすめの教材を、ステップごとにまとめました。
理解 | 「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版」 「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】 (名人の授業)」 |
記憶 | 「書いて覚える! 大人のための英語ドリル」 「英文法パターンドリル中学全範囲 (中学英文法パターンドリル) 」 |
自動化 | 「大学入試問題集 関正生の英文法ファイナル演習ポラリス[1 標準レベル]」 |
「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版」
「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版」は中学英語がコンパクトに1冊にまとまった教材です。
難しい文法用語は一切出てきません。
フルカラーのイラストを用いながら、分かりやすく解説している点が特徴です。
初心者レベルの方の学び直しにはぴったりの1冊です。
「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】 (名人の授業)」
「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】 (名人の授業)」は、受験を控えた高校生から英語を学びなおす社会人まで、多くの方に利用されている教材です。
超基礎の文法が講義形式で解説されています。
また、例文のほとんどに「SVOC」が書かれているため、文型も理解しやすくなっています。
確認問題付きのため、理解しながら、記憶していくのにも役立ちますよ。
「書いて覚える! 大人のための英語ドリル」
「書いて覚える! 大人のための英語ドリル」は、ドリル形式の文法教材です。
中学英語の大事な部分を厳選してまとめています。
例文の書き写しや練習問題に取り組めるため、記憶の定着を図れる1冊です。
また、付属のCDにはネイティブによる英語音声が収録されているため、リスニングの練習にもなるでしょう。
「英文法パターンドリル 中学全範囲 (中学英文法パターンドリル) 」
「英文法パターンドリル 中学全範囲 (中学英文法パターンドリル) 」も同じく、ドリル形式の文法教材です。
選択問題・並び替え問題・英作文問題といった多様な形式の問題が収録されています。
1セクションが2ページにまとめられているため、毎日無理なく学習を進められるでしょう。
中学1年版・2年版・3年版もあるため、学年ごとに時間をかけて学んでいきたい方は、それらのバージョンも検討してみてください。
「大学入試問題集 関正生の英文法ファイナル演習ポラリス[1 標準レベル]」
「大学入試問題集 関正生の英文法ファイナル演習ポラリス[1 標準レベル]」は、英文法の総仕上げにぴったりの1冊です。
文法が項目ごとで区切られていないため、応用力が試されます。
また、1問1問に丁寧な解説がついているため、間違えたとしても理解・記憶が促されますよ。
本来は大学受験用の教材ですが、記憶の自動化を図りたい方はぜひ挑戦してみてください。
ディクテーション
ディクテーションとは、英語音声を聞きながら文字に書き起こす学習法です。
ディクテーションには、リスニング力の向上が効果が期待できます。その理由は次の2つです。
- 自分の弱点や課題を把握できるため
- 文脈から推測する力が身につくため
ディクテーションを行うことで、自分が認識している音と実際の音とのずれを認識できます。
このずれを認識することで、つづりと音をセットで覚えられるようになり、英語を聞いたときに瞬時に理解できるようになるのです。
また、英語を聞き取れない原因も分析できます。
リスニングが苦手な理由には「語彙自体を知らない」「発音を覚えていない」「リエゾンに慣れていない」などがあります。
例えば、”an apple”を発音すると、「アン アッポー」ではなく「アナッポー」とつながりますよね。
これがリエゾンの一種です。リスニングができない原因が分かれば、それに応じた学習を行えばよいので、学習効率はグッと高まります。
さらに、英文を繰り返し聞くことで、意味を推測する力も養われます。
文章の途中に多少分からない語彙や表現があっても、前後の文脈から意味を読み取れるようになるのです。
ディクテーションの取り組み方
ディクテーションは、次の3つのステップで行います。
- 最初から最後まで音声を聞く
- まとまりごとに区切りながら音声を聞き、書き取る
- 答え合わせをし、聞き取れなかった原因を分析する
まずは、なんとなくの意味を掴むために、一度音声を通して聞いてみます。
このとき注意したいのは、ただ聞き流すだけにならないことです。
少しでも内容を理解できるよう、集中して音声を聞いておきましょう。
書き取りを行う際は、まとまりごとで区切りながら音声を聞きます。
最初のうちは、1文ごとで区切ると良いでしょう。
また、音声は何度聞いてもOKです。
むしろ、繰り返し聞いた方がトレーニングになります。
もしつづりが分からない部分があれば、推測しながら書く、もしくはカタカナで聞き取った音を書き残しておくようにしてください。
こうすることで、自分の音の認識のずれに気づけますよ。
「何度聞いても分からない」と限界を感じたら、スクリプト(原稿)を見て答え合わせします。
ここでは、聞き取れなかった原因を分析するとともに、知らなかった単語や表現を覚えるようにすることが大切です。
ディクテーションにおすすめの教材
ディクテーションで使う教材は、次の3つを基準に選ぶようにしましょう。
- スクリプトがついているもの
- 自分のレベルに合っているもの
- 長すぎないもの(1回1~5分)
ここでは、2つのおすすめ教材を紹介します。
なお、ディクテーション用のアプリも存在しますが、あまりおすすめはしません。
なぜなら、スマートフォンで文字を打ち込む際に、自動変換機能が働き、正しいスペルが分かってしまうためです。
先ほどお伝えした通り、ディクテーションでは認識のずれや聞き取れない原因に気づくことが大切になります。
よって、本当は知らない単語でも、正しいスペルが打ててしまっては学習効果が下がってしまいます。
特に、ディクテーションに初めて挑戦する方は、紙に書き込む形で取り組みましょう。
「究極の英語ディクテーション」
「究極の英語ディクテーション」は、30日間で構成されたトレーニングプログラムに取り組めるディクテーション教材です。
出てくる単語や文法は基本的なものばかりのため、初心者向けの教材といえます。
同じ英文でもナレーターや速度を変えて聞けるため、応用力も身につきますよ。
「ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOK」
「ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOK」は、ゼロからでも着実にリスニング力を鍛えられる1冊です。
短母音や長母音など基本の音の聞き取りから始まり、日常会話・長文リスニングへとステップアップしていきます。
アナウンスやニュースなど多彩な音源が収録されているため、楽しみながらディクテーションに取り組めます。
オーバーラッピング
オーバーラッピングとは、スクリプトを見ながら音声と一緒に発声する学習法です。
ディクテーション同様、リスニング力の向上が期待できる他、リーディング力やスピーキング力も鍛えられます。
その理由は、次の3つです。
- つづりと音を一致させられるため
- 返り読みしないため
- まねすることで、正しい音・リズム・アクセント・抑揚などが身につくため
オーバーラッピングは必ずスクリプトを見ながら行うため、つづりと発音をセットで覚えられます。
そのため、対話の中でも瞬時にどの単語のことなのかが分かるようになります。
また、リーディング力アップに苦戦している方の多くに見られるのが英文の返り読みです。
その点、音声に続いて読み続けていくオーバーラッピングでは返り読みができません。
読み進めることを繰り返しているうちに読むスピードが上がり、結果的にリーディング力の向上につながるのです。
さらに、オーバーラッピングの大きなポイントの1つが、音声をまねする点です。
まねしながら英語を口にすることで、正しい発音はもちろん、英語特有のリズム・アクセント・抑揚などが身についてきます。
オーバーラッピングの発展形:シャドーイング
シャドーイングはオーバーラッピング同様、音声をまねする学習法です。
しかし、オーバーラッピングとは、次の2点が異なります。
- スクリプトを見ない
- 音声から少し遅れて発声
シャドーイングの場合、手がかりは音声のみとなります。
そのため、初心者の方にとってはやや難易度が高い学習法となります。
シャドーイングは、オーバーラッピングができるようになってから取り組むのがおすすめです。
オーバーラッピングの取り組み方
オーバーラッピングは、次の2つのステップで行います。
- スクリプトを見ながら音声を聞く
- スクリプトを見ながら、音声と一緒に発声する
オーバーラッピングを行う上で重要なのは、英文の内容を完全に理解しておくことです。
意味が分からなければただの音まねになってしまい、活用できるレベルまでスキルを向上させられません。
意味を理解しておくために、初めにスクリプトを見ながら音声を聞くのです。
このとき、英文のスクリプトだけで分からなければ、日本語訳も一緒に確認しておきましょう。
また、この最初のリスニングには、自分が聞き取れない箇所を把握する意味もあります。
自分がどの単語・表現の聞き取りを苦手としているのかをあらかじめ把握し、その部分を重点的にオーバーラッピングすることが大切です。
意味の理解や苦手部分の把握が完了したら、いよいよ音声と一緒に発声します。
このとき、恥ずかしがらず、なるべく音声に忠実に発音や抑揚などをまねるようにしましょう。
恥ずかしがってカタカナ発音になってしまっては、効果は薄れてしまいます。
オーバーラッピングにおすすめの教材
オーバーラッピング用の教材は、ディクテーション教材の選定と同様の基準で選ぶようにしましょう。
- スクリプトがついているもの
- 自分のレベルに合っているもの
- 長すぎないもの(1回1~5分)
ここでは、おすすめの教材を2つ紹介します。
「みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング」
「みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング」は、「音読」「リスニング」「リピーティング」「シャドーイング」のトレーニングが収録された教材です。
この教材を使う際は、シャドーイングの部分をオーバーラッピングに置き換えると良いでしょう。
使用される語彙や文法は中学レベルに制限されているため、初心者の方に最適です。
「20日間完成 オーバーラッピングで音読する 絶対話せる!英文法」
「20日間完成 オーバーラッピングで音読すれば 絶対話せる!英文法」は、文法ごとにカテゴライズされた英文を用いて、オーバーラッピングのトレーニングを行います。
この教材のトレーニングは20日で完了するよう構成されているため、初心者の方もハードル低く始められるでしょう。
オンライン英会話で上達しないときはインプットが大切
オンライン英会話は、あくまでアウトプットをするのに有効な学習ツールです。
よって、「上達しない」「伸びない」と悩んでいる場合には、インプットから始めてみましょう。
「語彙や文法などの基礎学習」「ディクテーション」「オーバーラッピング」に取り組むことで、オンライン英会話での上達度は大きく変わります。
英語の習得には時間がかかるため根気強く取り組む必要がありますが、適切な方法で学習を進めていけば必ず力はついてきます。
オンライン英会話でのレッスンと自主学習を上手く組み合わせて、少しずつステップアップしていきましょう。
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